印刷をして色を再現するときの手法として、特練インキ・特色インキを使った印刷と、4色掛け合わせによる方法があります。
例えば、風景画を書いていたとします。
風景画の空の水色を塗ろうと考えました。どうしますか。
水色の絵の具は存在しません。だから青色をパレットで薄めて色を塗ります。
薄めた青色で空を縫った時、少し赤みがほしいと思えば、薄めた青色に微妙に赤を混ぜて空を塗るでしょう。
特練インキ・特色インキとは印刷者が自分の感覚で、またはCCMを使って機械的に色の配合を決めて何種類かのインキを混ぜたインキになります。
そのインキを版にローラで塗ってインキを紙面に転写します。
イメージとしては版画の要領です。
版について
パソコンで写真やイラストをプリントアウトする時、インクジェットプリンタなどで印刷します。
インクジェットプリンタの仕組みは、液状の顔料インキを噴射して印刷する方式です。
インクジェットプリンタの中身を空けるとC(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)K(ブラック)のボトルが四種類は最低限入っています。
例えば用紙に塗りつぶした紫の丸を印刷をする場合はCとMを用紙に吹き付けて色を再現します。緑の場合はCとYになります。
特色インキを使った印刷は風景画を絵の具をパレットで練ってから描く方法であるのに対して、インクジェットプリンタの方式はインキを用紙に吹き付けて紙の上で混ぜ合わせる方式です。
4色掛け合わせの印刷はフルカラー印刷ともいい、インクジェットと同じ理屈で印刷します。
つまりCMYKの4色を使い、紙の上で色を混ぜ合わせて色を再現するのです。
ところでアナログ印刷の印刷インキはインクジェットのインクと異なり、粘度が高く吹き付けて印刷するわけには行きません。
その為、インキではなく、版でインキが紙面に付く量を調整します。
フルカラー印刷の版について
理論上ではどのような印刷物も特色インキで印刷が出来ますし、フルカラー印刷で印刷できます。
しかし実際に特色インキで写真を印刷しようとどうなるでしょう。
写真を良くみると同じ色がほとんどありません。
同じような色でも微妙な光の当たり具合などで微妙に色が異なっています。
もしも正確に特色インキで写真を印刷しようとすると何万色もの特色インキが必要となり、それを作成する費用は天文学的なものとなってしまいます。
何万色もの色をするための版が必要になり、一度で何万色もの色を特色インキで印刷することが出来る機械はこの世に存在しないため、同じ機械を何回も通さなければなりません。
色などの調整をするために調整のためのロスも膨大な量となります。
そのような場合、フルカラー印刷だとCMYKの4つの版で一度機械を通すだけで印刷が可能です。
色数を特定することが不可能なほど多いものを印刷する場合は4色掛け合わせ、フルカラー印刷を使って印刷します。
特色インキを使った印刷はどのようなときに使われるのでしょうか。
理論上、フルカラー印刷ではすべての色が再現できることになっていますが、実際は焦げ茶色、オレンジ、緑など、インキの高い盛り量が必要なフルカラー印刷では再現するのが難しい色が存在します。
そのような色を再現するのは特色インキが向いています。特色インキは印刷技術者がインキ自体を調合して色の暗さや明るさを調整できます。
特色インキを使った印刷は同じ色で用紙を染め上げる事に向いていますが、写真のような紙面上の細かい色の変化は再現することが難しいです